フィジカルバランスラボ整体院

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【むち打ち症解説シリーズ】第8回:専門家がむち打ち症をどう導くか(アプローチ編)〜回復への道を共に歩む〜

痛みの根本に届く『関節調整・神経鎮静・感覚運動再学習』の3本柱で再発を予防。強圧は避け、安全な刺激で脳を再教育し、動きの質を段階的に回復させます。

 

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この記事を監修している人:奥村龍晃(柔道整復師資格保有)
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こんにちは!

脊柱側弯症専門のフィジカルバランスラボ整体院、
院長の奥村龍晃です。

前回、第7回の記事では、専門家がむち打ち症の複雑な症状の裏側をどのように探っていくか、という「評価編」についてお話ししました。
体の状態を多角的にチェックし、問題の根本原因に迫るプロセスをご理解いただけたかと思います。

すると、患者さんからは次のような質問をよくいただきます。

「評価で原因の仮説が立ったとして、そこから具体的に何をしてくれるんですか?」
「ただマッサージをしたり、電気を当てたりするだけではないんですか?」

とても大切な疑問ですよね。
どんなに正確な評価ができたとしても、その先にあるアプローチが的確でなければ、回復への道のりは遠のいてしまいます。

そこで今回は「アプローチ編」として、僕たち専門家が、評価に基づいてどのように患者さんを回復へと導いていくのか、その具体的な中身と目的について、科学的根拠と共にお話ししていきます。

対症療法ではなく「根本原因」に働きかける

まず大前提として、僕たちのアプローチは、単に今ある痛みを取り除く「対症療法」を目指すものではありません。

もちろん、痛みを和らげることは非常に重要です。
しかし、それだけでは、過敏になった神経が一時的に落ち着いただけに過ぎず、またすぐに症状がぶり返してしまう可能性があります。

僕たちが目指すのは、なぜ症状が起きているのかという「根本原因」に働きかけ、身体が本来持つ回復力を最大限に引き出すことです。

そのために、主に3つの柱を統合的に用いてアプローチを進めていきます。

1. 関節機能の正常化:穏やかな調整で“動きの質”を取り戻す

第3回でお話ししたように、むち打ち症では首(頸椎)だけでなく、背中(胸椎)の動きの硬さが問題となるケースが非常に多く見られます。

関節の動きが悪いと、周囲の筋肉は過剰に緊張し、神経を刺激して痛みを引き起こします。
また、動きの悪い部分をかばうために、他の部分が無理に動きすぎることで、新たな不調を生む原因にもなります。

そこで重要になるのが、関節一つひとつの“動きの質”を正常化するための、穏やかな調整です。

これは、バキバキと音を鳴らすような強い矯正ではありません。
専門家が手を使って、どの関節が、どの方向に動きにくくなっているのかを丁寧に見極め、非常にソフトな力で動きを誘導していきます。

錆びついた蝶番(ちょうつがい)に油を差し、ゆっくりと動かして滑らかさを取り戻すようなイメージです。
これにより、関節の動きがスムーズになり、筋肉の無駄な緊張が解け、神経への刺激が減少していきます。

2. 神経系の鎮静化:過敏になった“警報システム”を落ち着かせる

第2回で解説した「中枢神経感作」。
これは、むち打ち症の回復を考える上で絶対に欠かせない視点です。

事故の衝撃により、あなたの神経系は、いわば「火災報知器が誤作動を起こし続けている」ような状態になっています。
本来なら問題のないような些細な刺激(少し首を動かす、服が触れるなど)に対しても、脳が「危険だ!」と判断し、強い痛みや不調を感じてしまうのです。

この過敏になった警報システムを落ち着かせるためには、「その刺激は安全なんだよ」と神経系に再学習させてあげる必要があります。

僕たちのアプローチでは、皮膚や筋膜に対して非常に優しいタッチで触れていきます。
これは、安心感をもたらす信号を脳に送り、過剰な防御反応を鎮めることを目的としています。

強いマッサージやストレッチは、この時期の神経系にとっては「攻撃」と受け取られかねません。安全な刺激を根気強く入力し続けることで、神経系の過活動を鎮静化させ、痛みを感じにくい状態へと導いていきます。

3. 感覚運動制御の再学習:“正しい動き”を脳に思い出させるエクササイズ

第4回で、むち打ち後のめまい・ふらつきの原因として、首のセンサーが鈍くなり、脳が体の位置情報を見失う「関節位置覚の障害」についてお話ししました。

これは、めまいだけでなく、動き全体のぎこちなさや、特定の動作での痛みの再発にも繋がります。
脳が「首の正しい位置や動き方」を忘れてしまい、間違った指令を筋肉に送り続けている状態だからです。

そこで不可欠なのが、脳と身体の連携を取り戻す「感覚運動制御の再学習」です。

これは、ジムで行うようなハードなトレーニングではありません。
むしろ、非常に繊細で、意識を集中させて行うエクササイズです。

例えば、レーザーポインターを頭につけて、壁のターゲットを正確になぞる運動などがあります。
これにより、脳は「どう動かせば、首がどれくらい動くのか」という感覚を正確に捉え直し、運動の指令を修正していくことができます。

壊れてしまった身体の“地図”を、一つひとつ丁寧に描き直していくような地道な作業ですが、これが回復と再発予防の確かな土台となるのです。

まとめ:専門家は、あなたの回復力を引き出す「伴走者」

今回は、専門家が行うアプローチの3つの柱についてお話ししました。

  1. 関節機能の正常化: 穏やかな調整で、動きの土台を整える。
  2. 神経系の鎮静化: 優しいタッチで、過敏な警報システムを落ち着かせる。
  3. 感覚運動制御の再学習: 正しい動きを脳に思い出させ、再発を防ぐ。

これら3つのアプローチは、それぞれが独立しているのではなく、密接に連携しています。
関節の動きが良くなることで神経が落ち着き、神経が落ち着くからこそ、安心して正しい動きの学習ができるのです。

僕たち専門家の役割は、魔法のように一瞬で痛みを取り去ることではありません。
あなたの身体の状態を正確に評価し、回復を妨げている根本原因を見つけ出し、あなたの身体が本来持っている素晴らしい回復力を最大限に引き出すための「伴-走者」であることです。

回復への道のりは、時に平坦ではないかもしれません。
しかし、なぜそのアプローチが必要なのかを理解し、専門家と二人三脚で取り組むことで、その道のりは確かなものになります。

次回は、シリーズ第9回「回復を加速させるセルフケア〜専門家の視点で選ぶ、本当に役立つ知識〜」をお届けします。
専門家のもとで行うアプローチだけでなく、ご自身でできることについてもお話ししていきますので、ぜひご覧ください。

免責と受診の目安

本記事は一般的な医療情報であり診断ではありません。
激しい頭痛、手足のしびれ・脱力、意識障害、嘔吐、または2週間以上強い痛みが続く場合は早めに医療機関を受診してください。

参考文献

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