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脊柱側弯症

【脊柱側弯症手術後の痛み – 半数以上が経験する長期的な苦痛への理解を深める】

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この記事を監修している人:奥村龍晃(柔道整復師資格保有)
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こんにちは!

フィジカルバランスラボ整体院、
院長の奥村龍晃です。

 

今回は、脊柱側弯症の手術後に残ってしまう痛みについての研究論文を解説していきます。

実は、脊柱側弯症の手術を受けた後、痛みが残ってしまう患者さんは少なくないんです。

「手術を受ければ一度で治る」
「手術後はもう痛みがなくなる」

多くの方がそう期待して手術に臨むと思いますが、実際には、手術後も痛みがなかなか取れない、あるいは痛みがなくならないという悩みを抱える患者さんは多いのが現状です。

これは脊柱側弯症の手術に限った話ではなく、椎間板ヘルニアや膝の手術など、他の分野でも課題として認識されています。

では、なぜ手術後も痛みが残ってしまうのでしょうか?

今回は2007年の研究論文を参考に、その謎に迫っていきたいと思います。

信頼性の高い研究データから見えてきたもの

2007年の論文と聞くと少し古く感じるかもしれませんが、この研究を元に様々な調査や研究が発展しており、現在でも非常に重要な意味を持つ研究なんです。

この研究では、それまでに行われていた様々な研究データを集めた上で、重要な項目に焦点を絞って研究が行われています。

つまり、この研究以前にも多くの研究が行われており、その歴史の上に成り立っているので信ぴょう性は高いです。

さらに、この研究を基にして新たな研究が始まっているものもあるため、私は非常に重要な研究だと感じています。

研究の概要と対象者

今回の研究では、122人の思春期(10歳から18歳)の脊柱側弯症患者さんにアンケート調査を実施し、そのうち105人から回答を得ることができました。

このアンケート結果から、手術を受けた患者さんたちがどのような痛みを感じ、どのような場面で困っているのかを調査したものです。

対象となった患者さんのほとんどは、思春期特発性側弯症と診断された子供たちで、年齢的には12歳から18歳。

脊柱側弯症は女の子に多い病気ということもあり、今回の研究対象者も女の子の割合が多くなっています。

また、調査に協力してくれた患者さんたちは、手術から半年ほど経過した方から数年経過した方まで、様々な期間の方が含まれていました。

そのため、短期的から長期的な視点で、幅広いデータを取得することができた点が、この研究の大きな特徴です。

驚くべき結果:半数以上が術後も痛みに悩まされている

この研究の結果、なんと半数以上、52%もの患者さんが、手術後もずっと痛みを感じていることが明らかになりました。

特に、背骨の手術を受けた部分と腰の部分(骨盤近く)の痛みを訴える患者さんが多かったようです。

これは、当院に来られる脊柱側弯症の患者さんでも同様の傾向が見られます。

手術を受けていてもいなくても、背中や骨盤周り、腰回りに痛みを感じる方が多いんです。

そして、手術を受けても1年近く、あるいは1年以上経っても改善しないケースも少なくないことが分かりました。

これは、脊柱側弯症の手術に限らず、椎間板ヘルニアや変形性膝関節症、五十肩の手術を受けた人など、何年も経っても痛みが完全に取れないという悩みを抱える方は多くいらっしゃいます。

これは、手術の限界なのかもしれませんし、手術に過剰な期待を抱きすぎるのも良くないのかもしれませんね。

様々な論文を見ても、手術の結果、痛みが完全に消えたという割合は決して多くありません。

もちろん、少しずつその割合は増えてきていますが、「完全に痛みがなくなった」という人ばかりではないというのが現実です。

痛みを感じやすい部位と日常生活での影響

今回の研究では、痛みの部位だけでなく、どのような日常生活の場面で痛みや不快感を感じるのかについても調査が行われました。

その結果、背中、骨盤周り、肩回りに痛みや不快感を感じる患者さんが多いことが分かりました。

中でも、最も多かったのは背中の痛みです。

特に、寝ている時や横になっている時に痛みを感じ、長時間横になっていても背中が痛くてなかなか眠れない、寝返りを打つと痛みで目が覚めてしまう、といった悩みを抱えている子供たちが多いようです。

次に多かったのは骨盤周りの痛みで、長時間座っていると腰が痛くなってじっとしていられなくなったり、立ち上がりたくても立ち上がろうとするのも痛かったりするそうです。

肩甲骨周りの痛みは、どちらかというと背骨の上部の変形が強い人に影響する部分で、背骨の上部が変形している子供たちは、肩回りにも違和感があり、肩や腕を動かすと痛みや不快感を感じることがあるようです。

これは、手術を受けているかいないかに関係なく、脊柱側弯症の患者さんに特徴的に見られる痛みやすいポイントです。

僕が治療している患者さんたちも、これらの部位の痛みや不快感を訴える方が多いですね。

特に腰回りの痛みは強く、長時間座っていられない、一度座ってしまうと立ち上がるのが辛い、でも座っているのも辛い、といったジレンマに悩んでいる方が多い印象です。

慢性的な痛みが発生するメカニズム

では、なぜこのような慢性的な痛み、持続的に続く痛みが発生してしまうのでしょうか?

そのメカニズムとしては、大きく3つ考えられています。

1. 組織損傷

手術をするということは、メスで筋肉や皮膚を切ったり、骨にボルトを差し込んだりするわけですから、人体をあえて傷つける行為になります。

その傷つけられた組織から痛み物質が出ていることが、組織損傷による痛みです。

2. 神経系の異常

現在、最も懸念されているのがこの神経系の異常です。

神経が過敏になってしまい、通常では痛みを感じない刺激でも痛みを感じてしまう状態になってしまうのです。

これは、筋肉や皮膚の神経が過敏になるだけでなく、中枢神経系(自律神経など)も含めて、体の奥深くにある重要な神経が過敏になることで、痛みを感じやすくなったり、ちょっとしたことで痛みが出たりするのではないかと不安に駆られて痛みが出てしまうこともあります。

3. 心理社会的な要因

手術に対する不安や「本当に治るのかな?」という不安、恐怖、周りからどう見られるんだろうという周りの目が気になるといった精神的な要因によっても、痛みは発生します。

この点については、現在多くの論文が出ており、かなり確立された理論となっています。

体が整っていても、姿勢が整っていても、神経に異常があったり、精神的な要因によって痛みを感じてしまうことはあり得るということを認識しておく必要があります。

研究の限界と今後の課題

今回の研究は、外来患者さんのみを対象としているため、入院している患者さんを含めて、より多くの様々な状況の患者さんを対象とした研究が必要とされています。

また、「バイアス(思い込み)」と呼ばれるものが影響している可能性も指摘されています。

これは、「幻肢」と呼ばれる現象と同じ考え方で、例えば腕を切断した場合、肘から先の腕はもう存在しないにも関わらず、痛みを感じてしまう人が少なくありません。

50%から80%の人が、腕を切断したにも関わらず、その先の部分が痛い、かゆいといった感覚を持つことが分かっています。

存在しない部分、神経もないはずの部分に痛みを感じてしまうということは、痛みに対する恐怖や記憶、自分の体が存在しているという思い込みによって痛みが発生しているのではないかと考えられています。

脊柱側弯症手術後の痛みにも、これに近いものが起きている可能性があると考えられています。

こういった側面も含めて、様々な角度から研究やアプローチをしていく必要があるでしょう。

持続的な痛みの予防と改善に向けて

今回の研究で、脊柱側弯症手術後、持続的に痛みを感じている患者さんが多いということが明らかになりました。

半数以上の人が1年以上経っても痛みを感じているという事実は、私たちにとって大きな課題です。

持続的な痛みを予防し、あるいは改善していくためには、手術後も持続的な痛みが発生しないように、どのような戦略を立て、治療計画を立てていくかが重要になります。

それは、手術そのものだけでなく、薬物療法やリハビリテーション、そして社会環境の改善なども含まれます。

例えば、学校の先生方にもこの事実を理解してもらうなど、子供たちが置かれている環境、周りの大人たちの理解も必要です。

今回の研究対象となった患者さんたちは、ほとんどが思春期の子供たちです。

思春期は、精神的な不安を抱えやすい時期でもあるため、患者さんたちの心のケアもしっかりと行っていく必要があるでしょう。

さらに、持続的な痛み、慢性的な痛みに繋がる要因をより深く追求し、原因を特定していくことも重要です。

そのためには、多くのデータが必要ですし、研究機関や医療機関だけでなく、学校や家庭といった施設も含めた連携が不可欠です。

まとめ

今回は、脊柱側弯症手術後の痛みについて、研究論文を基に解説しました。

手術後も痛みが残ってしまう患者さんが多いという現状、そのメカニズム、そして今後の課題などについて理解を深めていただけたと思います。

脊柱側弯症は、手術によって体の変形を矯正することができますが、手術後も痛みを抱え続ける可能性があることを理解しておくことが大切です。

そして、医療従事者だけでなく、患者さん本人、そして周りの大人たちが協力し、持続的な痛みの予防や改善に取り組んでいくことが重要です。

◆参考文献:https://x.gd/JyuG1

 

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