みなさん、「側弯症」という言葉を聞いたことがありますか? 側弯症は、背骨が横に曲がってしまう病気のことを言います。

普通の背骨はまっすぐですが、側弯症の人の背骨はアルファベットのSやCのような形に曲がってしまうんです。

側弯症には大きく分けて2種類あります:

1. 早期発症型特発性側弯症 (EOS): 10歳より前に発症する側弯症
2. 思春期特発性側弯症 (AIS): 10歳以降に発症する側弯症

「特発性」というのは、原因がよく分からないという意味です。
つまり、なぜ背骨が曲がり始めたのか、はっきりとした理由が分かっていないんですね。

どうやって治すの?

側弯症の治療方法は主に2つあります:

1. コルセット療法: 背骨の曲がりが軽い場合は、特殊な装具(コルセット)を着けて背骨の曲がりを矯正します。
2. 手術療法: 背骨の曲がりが重い場合は、手術をして背骨を固定します。

長期間の研究で分かったこと

今回の研究では、側弯症の治療を受けた人たちが、治療から平均26.5年後にどうなったのかを調べました。

背骨の動きや背中の筋肉の強さを測定して、以下のようなことが分かりました:

1. コルセット療法を受けたEOS患者さんは、AIS患者さんと比べて:

   • 背骨の動きが良好
   • 背中の筋肉の持久力が高い

   これは意外な発見でした。なぜなら、EOSの人たちはより若い年齢で、より長期間コルセットを着けていたからです。
   普通に考えると、動きが制限されて筋肉も弱くなりそうですよね。
   でも実際はそうではなかったんです!

2. 手術を受けたEOS患者さんは、AIS患者さんと比べて:

   • 背骨の動きがやや良好
   • 背中の筋肉の強さがやや高い

   これも予想外の結果でした。
   EOSの人たちは背骨をより長く固定する手術を受けているのに、むしろ動きや筋力が良かったんです。

3. 腰の動きと日常生活の関係:

   手術を受けたEOS患者さんでは、腰の動きが良いほど日常生活動作がしやすいという関係が見られました。

4. 運動と筋力の関係:

   EOS患者さんでは、お腹の筋肉が強いほど、日常的に運動をしている傾向がありました。

この研究結果が教えてくれること

1. 早い段階でコルセット治療を始めることのメリット

   EOSの患者さんは若いうちからコルセットを着け始めます。最初は大変かもしれませんが、体が柔軟なうちに治療を始めることで、長期的には良い結果につながる可能性があります。

2. 「頑張り過ぎない」ことの大切さ

   AISの患者さんは思春期に治療を始めます。この時期は体の変化も大きく、周りの目も気になる年頃です。
   そのため、コルセットの着用をがんばりすぎてしまい、かえって体を硬くしてしまう可能性があります。

3. 手術後も運動は大切

   手術を受けたからといって、運動をあきらめる必要はありません。
   むしろ、適度な運動を続けることで、背骨の動きや筋力を維持できる可能性があります。

4. 一人ひとりに合った治療の重要性

   側弯症の治療は、発症年齢や曲がりの程度によって異なります。
   医師や理学療法士と相談しながら、自分に合った治療法を見つけることが大切です。

側弯症と診断されても、あきらめる必要はありません。

この研究結果は、適切な治療を受ければ、長期的には良好な結果が得られる可能性を示しています。

大切なのは以下の3点です:

1. 早期発見・早期治療

   定期的な検診を受けて、異常があればすぐに専門医に相談しましょう。

2. 治療を継続する

   コルセットの着用や運動療法は面倒に感じるかもしれません。でも、コツコツ続けることで良い結果につながります。

3. バランスの取れた生活

   治療は大切ですが、趣味や勉強など、やりたいことも諦めないでください。周りの人のサポートを受けながら、バランスの取れた生活を送りましょう。

側弯症は一生付き合っていく必要がある病気かもしれません。

でも、この研究結果が示すように、適切な治療と努力次第で、充実した生活を送ることができます！

参考文献：[早期発症特発性側弯症の治療を受けた中年患者の脊椎可動性と筋機能：未治療および治療を受けた思春期発症患者との比較]