この記事を監修している人:奥村龍晃(柔道整復師資格保有)
こんにちは!
フィジカルバランスラボ整体院、院長の奥村龍晃です。
今回は、思春期の子どもたちに起こる背骨の曲がり(側弯症)と、腰痛や背中の痛みについて、最新の研究結果をお伝えします。
思春期特発性側弯症って何?
まず「思春期特発性側弯症」という言葉を聞いたことがありますか?
ややこしい言葉なので分解して説明すると、
- 思春期:10代前半から後半の成長期のこと
- 特発性:原因がはっきりしないこと
- 側弯症:背骨が横に曲がってしまう状態
つまり、思春期特発性側弯症とは、「10代の子どもたちの背骨が、はっきりした原因もなく横に曲がってしまう病気」のことです。
100人に3人くらいの割合で起こると言われています。
実はそこそこ多いんですよ!
この病気は、腰痛や背中の痛みを伴うことが知られています。
でも、これまでその痛みがどのくらいの頻度で起こるのか、時間とともにどう変化していくのかについては、よくわかっていませんでした。
そこで今回、香港大学の研究チームが、思春期特発性側弯症の子どもたち428人を3年間追跡調査しました。
その結果をわかりやすく解説していきます!
研究の目的: 背中の痛みの「自然経過」を知る
この研究の大きな目的は、思春期特発性側弯症の子どもたちの背中の痛みが、治療をせずにそのまま放っておいた場合、どのように変化していくのか?を調べることでした。
これを医学用語で「自然経過」と呼びます。
もし、治療をせずに放っておいた場合に、後々とっても酷いことになるようなら、早めに治療した方がいいですよね!
こういったこともしっかり調べてくれるのが、研究の良いところ。
研究の方法: 3年間の追跡調査
研究チームは、思春期特発性側弯症と診断された10歳から18歳の子どもたち428人を対象に、3年間の追跡調査を行いました。
調査では、「SRS-22r」という質問票を使いました。
これは、背中の痛みや日常生活への影響、心の健康状態などを調べるための22の質問からなるアンケートです。
また、レントゲン写真を撮影して、背骨の曲がり具合(コブ角)も測定しました。
主な調査結果:
- 背中の痛みの発生率
- 1年目: 14.7%
- 2年目: 18.8%
- 3年目: 19.0%
これは、例えば1年目なら100人中約15人、3年目には100人中19人が新たに背中の痛みを感じるようになったということです。
- 痛みの強さ
ほとんどの子ども(約90%)が、軽い痛みを感じていました。中程度や強い痛みを感じる子どもは少数でした。
ですが、治療をしない期間が長くなるごとに、少しずつ痛みを感んじる子供が増えているのも事実です。 - 痛みと生活の質の関係
背中に痛みがある子どもは、痛みのない子どもに比べて:
- 日常生活の動作がやりにくい
- 自分の見た目に対する満足度が低い
- 心の健康状態があまり良くない
という傾向がありました。
- 背骨の曲がり具合と痛みの関係
背中に痛みがある子どもは、痛みのない子どもよりも背骨の曲がりが大きい傾向にありました。
ただし、統計学的に有意な差ではありませんでした。 - 理学療法の効果
一部の子どもたちは理学療法(体操や運動療法など)を受けていましたが、背中の痛みの発生率や強さに明確な違いは見られませんでした。
この研究結果が教えてくれること
- 背中の痛みは軽視できない
思春期特発性側弯症の子どもたちの多くは軽い痛みしか感じていませんが、それでも生活の質に影響を与えていることがわかりました。また、年々新たに痛みを感じる子どもが増えていくことも明らかになりました。
- 早期の対応が大切
この研究では3年間しか追跡していませんが、過去の研究から、子どもの頃の背中の痛みが大人になってからの重度の背中の問題につながる可能性があることがわかっています。そのため、早い段階から適切に対応することが重要です。
- 心のケアも必要
背中の痛みは、体の問題だけでなく心の健康にも影響を与えることがわかりました。痛みのケアと同時に、心のサポートも大切です。
- 治療法の再考が必要
理学療法を受けた子どもたちと受けなかった子どもたちで、背中の痛みに大きな違いが見られなかったことから、現在行われている治療法の効果を見直す必要があるかもしれません。
この研究の限界と今後の課題
どんな研究も完璧ではないので、この結果を鵜呑みにしてはいけません!
あくまでも参考にしておく、基礎知識として持ってくことが大事。
その上で、今回の研究の場合は、以下のような点に注意が必要です↓
- 追跡期間が3年と比較的短いこと
- 背中の痛み以外の原因(例: 椎間板の問題)を十分に調べていないこと
- 痛みの評価方法がやや不十分だったこと
研究チームは、これらの点を踏まえて、今後さらに長期間の追跡調査や、より詳細な痛みの評価を行う必要があると考えているみたいです。
まとめ
思春期特発性側弯症の子どもたちにとって、背中の痛みは決して無視できない問題です。
たとえ軽い痛みであっても、生活の質や心の健康に影響を与える可能性があります。
この研究結果は、医療関係者だけでなく、側弯症の子どもたちやその家族にとっても重要な内容だと僕は思います。
- 痛みがあれば我慢せずに相談する
- 痛みだけでなく、心の健康にも目を向ける
- 長期的な視点で、適切な治療やケアを考える
背骨が曲がっているからといって、必ずしも痛みを伴うわけではありません。逆に、軽い曲がりでも痛みを感じる場合があります。一人ひとりの状況は違うので、専門家とよく相談しながら、最適な対応を見つけていくことが大切です。
参考文献:未治療の思春期特発性側弯症患者における初診から3年間の追跡調査までの腰痛の発生率
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