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身体の使い方・姿勢の解説記事

靴底の減り方が左右で違うときは?靴の条件と受診目安

76人を14週間追った研究では、かかとの外側の摩耗が多く、足の向きとの弱い関連も右足だけだったため、片側の減りから歩き方や骨盤を決めず、靴の使用条件と傷みを確認し、痛み・しびれ・つまずきがあれば医療機関へ相談しましょう。

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この記事の執筆・監修:奥村龍晃(柔道整復師)
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こんにちは!

脊柱側弯症専門のフィジカルバランスラボ整体院、
院長の奥村龍晃です。

 

はじめに

「右の靴だけ、かかとの外側が早く減る」

「左右差があるのは、骨盤や歩き方に問題があるから?」

靴底の違いに気づくと、体がゆがんでいるのではないかと不安になりますよね。

来院時にも、「外側が減る足を、まっすぐ着くように直したほうがよいですか」と聞かれることがあります。
これは施術後の変化ではなく、よく聞く悩みの一例です。

僕がまずお伝えしたいのは、靴底の左右差だけで、歩き方、骨盤、背骨の状態を決めないことです。

靴底の摩耗には、靴の素材や構造、サイズ、履いた期間、歩いた距離、路面、仕事や運転での使い方などが重なります。
身体の動きが関係する可能性はあっても、減った場所から原因を一つに絞ることはできません。

靴底の減り方だけで原因を決められない理由

靴底の摩耗に路面や使用場面など複数の条件が関わるイラスト

同じ一足でも、左右がまったく同じ条件で使われるとは限りません。
自転車のペダル、車の運転、片側へ傾いた路面、方向転換の多い仕事などで、片方の靴へ加わる摩擦が変わる場合があります。
靴底の一部分だけで体全体の原因を決めるのは、一枚の写真だけで一日の出来事を決めるのと少し似ています。

靴そのものにも違いがあります。
靴底のゴムの硬さ、溝の形、かかとの構造、足との適合、靴ひもの締め方、濡れた路面での使用なども、摩耗の進み方に関わります。

さらに、靴底の「減り」と、足裏にかかる「圧」は同じ指標ではありません。
足裏の圧は歩行中の一時点を機器で測りますが、靴底には長期間の使用条件が積み重なります。

外側が減る、内側が減るという見た目だけで、特定の病名や「骨盤のゆがみ」を判断することはできません。

靴底を見て一律に足先を内外へ向けると、膝、股関節、腰などに別の負担を感じる可能性があります。
左右差を消すための歩き方を自己流で作る前に、靴側の条件と一緒に起きている症状を分けて確認することが大切です。

研究で分かることと限界

靴底の減り方と安全性を観察する研究のイラスト

2012年の研究では、76人の歩兵新兵について、14週間の訓練後に靴のかかとの摩耗を調べました。
摩耗は平均すると、かかとの後ろから外側に多くみられました(PMID: 23098624)。

最も減っていた方向と、歩くときの右足の向きには弱い関連がありましたが、左足では確認されませんでした。
一方で、かかとの内外への傾きなど、研究者が調べたほかの足の状態との関連は確認されませんでした。

対象は19歳前後の新兵で、似た訓練を受けた集団です。
一般の年齢層やさまざまな靴へ、そのまま当てはめることはできません。
この研究も、靴底の模様から骨盤や背骨の状態を診断できるとは示していません。

2009年には、靴を一定の順序で評価するための道具が開発されました。
15人が2組ずつ提供した靴から、各組の利き足側の靴(計30個)を、理学療法士と、足の病気を専門に扱う職種(足病専門職)が1〜3週間あけて2回確認しました。
サイズ、構造、クッション、摩耗など、多くの項目で、確認した人どうしの判断はよく一致しました(PMID: 19389229)。

ただし、論文は、各項目がさまざまな患者集団の医療現場でどのような意味を持つかについて、さらに研究が必要だとしています。
つまり、靴底だけを見るのではなく、靴全体を同じ順序で確認する方法は作れても、摩耗から原因を断定できるわけではありません。

2022年の研究では、15人が職場で使った22組の、滑りにくく作られた職場用の靴(耐滑靴)を1〜11か月追跡しました。
使用期間や歩いた距離が増えるほど、滑りやすい床面を模したロボット試験で、靴の滑りにくさが低下しました。
靴底の溝が消えた部分を縦と横で測った値が大きい場合も、同じ傾向でした(PMID: 37701063)。

これは特定の職場用靴と試験条件の結果で、すべての靴に共通する交換時期を示すものではありません。
それでも、摩耗を体の診断材料だけでなく、靴の安全性を見直す合図として扱う視点は重要です。

まず記録したい3つのこと

靴底の左右差と使用状況を写真やメモで記録するイラスト

歩き方をわざと変えたり、何度も歩いて症状を再現したりする必要はありません。
左右差に気づいた日に、次の3点を記録してください。

  1. 同じ一足を左右で比べる

    靴底を同じ向きで並べ、かかと、つま先の付け根(前足部)、内側、外側のどこが減っているかを写真に残します。
    違う時期に買った靴や、用途が違う靴同士では比較しません。

  2. 靴と使用条件を記録する

    履き始めた時期、おおよその使用頻度、通勤、仕事、運転、坂道など、よく使う場面を書きます。
    溝の消失、靴底のひび、はがれ、平らな場所へ置いたときの傾きも確認します。

  3. 一緒に起きている症状を記録する

    足、膝、股関節、腰の痛み、しびれ、足に力が入りにくい感じ、つまずき、歩きにくさの有無を書きます。
    靴底の左右差だけでなく、いつから何が変わったかを医師へ伝えられる形にします。

靴底をそろえるために足先の向きや着き方を自己流で変えず、まず靴の条件と症状を記録してください。

靴の交換と受診を考える目安

靴底の溝が広く消えている、ひびやはがれがある、平らな場所で靴が傾く場合は、販売店やメーカーへ安全に使える状態か確認してください。
濡れた床や滑りやすい場所で使う靴は、左右差の原因探しより、滑りにくさを保てるかを優先します。

靴底の左右差以外に、痛み、しびれ、脚に力が入りにくい状態、つまずき、歩きにくさなどがない場合は、必ずしも緊急受診が必要とは限りません。
一方、次の症状が伴う場合は、整形外科などの医療機関へ相談してください。

  • 足、膝、股関節、腰の痛みが続く、強くなる
  • 足のしびれや感覚の変化がある
  • つま先を上げにくい、足に力が入りにくい
  • つまずきや転倒が増えた
  • 外傷の後から歩き方や靴の減り方が急に変わった
  • 歩行や仕事など、日常生活に支障がある

足首から先を上げにくい状態は下垂足と呼ばれ、転倒につながる場合があります。
原因には、脚や足へ伸びる神経(末梢神経)や腰部など複数の部位が関わるため、神経の働きを確認する診察が必要です(PMID: 18502948)。

新しくつま先を上げにくくなった場合や、脚の力が急に弱くなった、または弱さが進んでいる場合は、様子見を続けず当日中に整形外科などへ相談してください。
自力で安全に歩けない場合は、119番へ連絡してください。

まとめと次の一歩

靴底の減り方には、靴の構造、使用期間、歩いた距離、路面、使い方、身体の動きなど、複数の条件が関わります。
左右差だけで、歩き方、骨盤、背骨の状態や病名を判断することはできません。

まず同じ一足を左右で比べ、減った場所、靴の傷み、使用条件、一緒に起きている症状を記録してください。
痛み、しびれ、脚に力が入りにくい状態、つまずき、歩きにくさがあれば、記録を持って医療機関へ相談しましょう。

靴底を体の診断に使うのではなく、靴の安全性と受診が必要な症状を確認する入口にしましょう。

参考文献

※免責事項
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療を意図したものではありません。
痛みや不調がある場合、運動中に痛みが出た場合は中止し、必要に応じて医療機関にご相談ください。
症状が続く、強くなる、または日常生活に支障がある場合は、期間にかかわらず医療機関にご相談ください。
 

公式LINEへのメッセージ送信は24時間可能です。返信は営業時間内です。
ご予約や当院の一般的なご案内についてお問い合わせいただけます。

 

 

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