2024年の733人を含むメタ解析では、股関節の横の痛みに対して運動が長期の改善に役立つ傾向が示されました。歩くと外側が痛むときは、股関節だけでなくお尻の横の腱、骨盤の安定性、体幹の左右差まで見る視点が役立ちます。

この記事を監修している人:奥村龍晃(柔道整復師資格保有)
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こんにちは!
脊柱側弯症のお悩み相談を受けているフィジカルバランスラボ整体院、
院長の奥村龍晃です。
はじめに
「歩き始めは平気なのに、だんだん股関節の横が痛くなります」
「寝返りでも、お尻の横が当たると気になります」
こうした相談は、40代後半から50代の方でとても多いです。
脚のつけ根ではなく外側が痛むと、股関節そのものの問題なのか、筋肉なのか、坐骨神経痛なのかと不安になりますよね。
先日いらした50代女性の方も、買い物で20分ほど歩くと右のお尻の横が重だるくなり、帰るころには同じ側の腰まで張ってくる状態でした。
詳しく見ていくと、片脚で立ったときの骨盤の支え方、胸の向き、呼吸で肋骨が広がる方向に左右差がありました。
痛い場所は股関節の横でも、そこだけが悪いというより、歩くたびに同じ側へ仕事が集まりやすい動き方が重なっていたんです。
この記事では、歩くと股関節の横が痛みやすいときに見直したい「お尻の横の負担」「骨盤の安定性」「体幹の左右差」のつながりを、PubMedの研究をもとにやさしく整理します。
とくに、片側の股関節痛に腰痛や立ち姿の左右差が重なる方は、大人の側弯症の入口として理解しておくと役立つ視点もお伝えします。
なぜ起こるのか
歩くと股関節の横が痛いとき、まず知っておきたいのは、痛みの場所がいつも股関節の関節の中とは限らないことです。
外側の痛みでは、お尻の横の腱やその周りに負担が集まっているケースがよくあります。
専門的には大転子部痛症候群や殿筋腱障害と呼ばれますが、簡単に言うと「お尻の横の支える組織が疲れやすい状態」です。
片脚で立つ時間が長い歩き方になると、そこへ何度も小さな負担が重なりやすくなります。
2024年の診断レビューでは、股関節の横の痛みを考えるとき、押して痛いかどうか一つだけでは足りず、外側を押したときの反応と股関節を横へ動かす力の入り方を組み合わせると、絞り込みに役立つ可能性が示されました。
逆に言えば、「ここが痛いから原因はここ」と単純には決めにくいということです。
研究の確かさは高くないため、実際には歩き方や立ち方まで含めて見たほうが現実的なんですね。
もう一つ大切なのが骨盤の安定性です。
歩くときは片脚立ちの連続です。
お尻の横の筋肉は、骨盤が大きく傾きすぎないように支える役割があります。
たとえるなら、洗濯物を干す竿を支える両端の金具のようなものです。
片方が揺れやすいと、真ん中の竿だけでなく周囲にも余計な負担が広がります。
2026年の研究でも、殿筋腱障害がある人は歩行や階段、横向きで寝ることなど日常動作で不自由を感じやすいと報告されています。
さらに40代後半から50代で、片側の股関節痛に腰痛や肩の高さの左右差が重なる場合は、背骨の並び方まで視野に入れる価値があります。
2019年の地域在住女性を対象にした研究では、背骨と骨盤のバランス指標と股関節の動きに関連が報告されました。
大人の側弯症がある方では、骨盤の傾き方や体幹の回り方に偏りが出て、結果として片側のお尻の横に負担が集まりやすい可能性があります。
もちろん、外側の股関節痛があるからすぐ側弯症という意味ではありません。
ただ、昔から左右差を指摘されていた方ほど、痛い場所だけで話を終えないことが大切です。
解決の方向性
僕が大切にしているのは、痛い場所をいきなり強くほぐすより先に、「どの場面で横の負担が増えるのか」を分けて見ることです。
歩き始めから痛いのか、10分を超えると痛いのか、坂道や階段で増えるのか、横向きで寝るとつらいのか。
この違いだけでも、お尻の横の組織そのものが疲れているのか、骨盤や体幹の支え方が崩れて結果的に負担が集まっているのかが見えやすくなります。
流れとしては、今の状態を確認する → お尻の横に荷重が集まりすぎない立ち方と呼吸をつくる → 歩く距離や速さを無理なく調整しながら変化を確かめる、という考え方です。
2024年の733人を含むメタ解析では、股関節の横の痛みに対して運動が長期の痛みや機能に少し良い影響を与える可能性が示されました。
2018年のランダム化比較試験でも、教育と運動の組み合わせは、注射や様子見より「よくなった実感」が得られやすい結果でした。ただし、どの運動が誰に合うかは一律ではなく、研究数もまだ多くありません。
ですから、「この体操だけで解決」と考えるより、負担のかかり方に合わせて組み立てるほうが現実的です。
受診を優先したい場面もあります。
転倒後から急につらい、じっとしていても強く痛む、発熱がある、足に力が入りにくい、股関節の奥が強く引っかかる感じで体重を乗せにくい。
こうした場合はセルフケアより先に整形外科での確認をおすすめします。
僕たちができるのは病名を決めることではなく、日常でどこに負担が集まりやすいかを整理して、無理のない変化を一緒に探すことです。
今日からできること
ここからは、歩くと股関節の横がつらい方が試しやすい内容を3つ紹介します。
無理に強く伸ばしたり、痛い側だけを何度も押したりする必要はありません。
痛みが出たら中止してください。
鏡の前で片脚立ちを5秒だけ行い、骨盤の傾きを見る(目安:左右5秒×3回)
壁や机に指を軽く添えたまま片脚立ちになります。
肩が大きく傾く、腰を横に逃がしたくなる、反対側の骨盤が急に下がるときは、お尻の横が頑張りすぎているサインになりやすいです。
まずは左右差に気づくことから始めてください。横向きではなく仰向けで膝を立て、息を吐きながらお尻の力を軽く入れる(目安:5呼吸×3セット)
腰を反らずに、息をふっと吐きながら左右のお尻に同じくらい力が入るかを確かめます。
強いブリッジではなく、床に押し返す感覚をつくる程度で十分です。
歩く前に行うと、骨盤の支えをつくりやすい方がいます。いつもの半分の歩幅で10歩歩き、痛みが出る距離をメモする(目安:往復10歩×2回)
大股で進むほど、外側の組織に引っ張りが強くなる方がいます。
まずは静かな足音で10歩だけ歩き、痛みが増えないかを観察してください。
距離や時間を記録すると、無理のない増やし方を考えやすくなります。
まとめと次の一歩
歩くと股関節の横が痛いときは、痛い場所だけを見ても答えが出ないことがあります。
お尻の横の腱への負担、片脚で支える骨盤の安定性、体幹の左右差が重なると、同じ側ばかりつらくなりやすいからです。
研究でも、教育と運動を組み合わせながら負担を整える考え方が、長い目では役立つ可能性が示されています。
一方で、押して痛い、外側が気になるという情報だけで原因を決め切れるほど単純ではないことも分かっています。
だからこそ、「何をすると痛いか」「どちら側に体重が集まりやすいか」を丁寧に見ることが大切です。
もし片側の股関節痛に加えて、片側の腰痛、肩の高さの左右差、昔からの背骨の曲がりの指摘がある場合は、大人の側弯症とのつながりまで含めて全体を見る価値があります。
40代後半から50代は、まだ動き方のクセを整理しやすい時期です。
できることから少しずつ、歩くたびに同じ場所へ集まる頑張りをほどいていきましょう!
参考文献
- The efficacy of gluteal tendinopathy treatments: A systematic review (Clin Rehabil, 2025)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40223303/ - Exercise compared to a control condition or other conservative treatment options in patients with Greater Trochanteric Pain Syndrome: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials (Physiotherapy, 2024)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38295551/ - Diagnostic Accuracy of Clinical Tests for Assessing Greater Trochanteric Pain Syndrome: A Systematic Review With Meta-analysis (J Orthop Sports Phys Ther, 2024)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37561820/ - Education plus exercise versus corticosteroid injection use versus a wait and see approach on global outcome and pain from gluteal tendinopathy: prospective, single blinded, randomised clinical trial (BMJ, 2018)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29720374/ - Adult spinal deformity and its relationship with hip range of motion: a cohort study of community-dwelling females (Spine J, 2019)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30769092/ - Functional impact of gluteal tendinopathy: A secondary cross-sectional analysis of baseline data from the LEAP randomised clinical trial (Braz J Phys Ther, 2026)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41865562/
本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療を意図したものではありません。
痛みや不調がある場合、運動中に痛みが出た場合は中止し、必要に応じて医療機関にご相談ください。
2週間以上症状が続く場合は、専門家への受診をおすすめします。
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