産後の運動再開は自然分娩6〜8週・帝王切開8〜12週が一般的目安。免荷×呼吸で骨盤底と体幹を再学習し、疲労に配慮して段階的に負荷を上げることで、安全に機能回復を目指せます。

この記事を監修している人:奥村龍晃(柔道整復師資格保有)
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こんにちは!
脊柱側弯症専門のフィジカルバランスラボ整体院、
院長の奥村龍晃です。
はじめに
妊娠・出産を経た後、
「体が元に戻るまでどのくらいかかるんだろう」
「腰や骨盤の違和感がずっと残ってる」
「運動したいけど、何をしていいのか分からない」
そんな不安を抱えるお母さんたちの声を、僕は本当によく聞きます。
先月も、出産から5ヶ月経つAさん(仮名)が来院されました。
産後、腰と骨盤の重さが続き、長く立つと体が傾く感覚が気になるとのこと。
育児の疲れもあって「このままずっと不調なのかな」と諦めかけていたそうです。
けれど、痛みゼロの環境でやさしく評価し、段階的に体幹と骨盤底の協調性を取り戻していくうち、「動くのが怖くない」という感覚が戻ってきたんです。
産後の体は、妊娠・出産という大きな変化を経ています。
医学的なサポートと、安全で科学的なアプローチがあれば、焦らず、確実に日常機能を取り戻せます。
この回では、レッドコード整体が産後ケアでどのような役割を担うのか、骨盤・骨盤底に配慮した進め方について、わかりやすくお伝えします。
なぜ起こるのか
妊娠中、体は大きく変わります。
重心が前に移動し、骨盤が開き、脊柱の湾曲も変化します。
また、リラキシンというホルモンが分泌され、靭帯や関節が弛緩する状態が続きます。
これは赤ちゃんが通りやすくするための自然な適応なんですが、出産後、この弛緩した関節や骨盤は、すぐには元に戻りません。
加えて、妊娠・出産による神経筋制御(筋肉と神経のチームワーク)の変化が起こります。
体幹の深層筋や骨盤底筋群(骨盤の底を支える筋肉、膀胱や子宮といった骨盤内臓器を支える役割)が、妊娠によって機能が低下し、その後の回復が不十分なまま日常に戻ると、腰痛や骨盤の不安定感、さらには排尿の悩みにもつながりやすくなります。
また、育児による姿勢の負担も大きな要因です。
抱っこ、授乳、おむつ替えなど、繰り返しの動作によって、同じ部位に負担が集中しやすくなります。
これまでの「痛みゼロの環境で正しい動きを再学習する」という原則が、産後こそ必要不可欠なんです。
さらに、産後うつやメンタルヘルスの課題があると、体の不調の感じ方もより強くなりやすいです。
解決の方向性
産後ケアでレッドコード整体を用いる際、最初に必ず確認すべきことがあります。
出産の方法(自然分娩か帝王切開か)、分娩時の合併症の有無、現在の体調や出血の状況です。
これらは医療連携の基本です。
主治医から「運動OK」の確認を得ることは絶対です。
次に、問診の中で骨盤底の症状――排尿の悩み(尿漏れ、急な尿意など)、痛みの有無、回復の程度――を丁寧に確認します。
医学的に禁忌とされる時期(通常、自然分娩は6〜8週間、帝王切開は8〜12週間とされることが多い)を過ぎていることを確認し、さらに個別の状況に応じて判断します。
評価では、骨盤のアライメント(骨盤の位置・傾き)、脊柱の湾曲、立ち方・座り方での体の使い方を、痛みゼロ原則で確認します。
特に体幹の深層筋(横隔膜、多裂筋、腹横筋、骨盤底筋という「コアの四つの層」)と、呼吸のバランスをチェックすることが重要です。
実際の施術では、免荷という工夫を活用します。
天井のロープで体の一部を支えることで、重力や体重の一部を預ける環境を作ります。
この状態で、横隔膜と骨盤底が協調する呼吸の練習から始めます。吸う時に横隔膜が下がり、骨盤底がやさしく下垂する動き。
吐く時に横隔膜が上がり、骨盤底が適度に収縮する動き。この連動が産後の土台になります。
その後、体幹の安定筋と主動筋の役割分担を、段階的に再構築します。
寝た姿勢から始めて、座位、立位へと負荷を上げていきますが、育児で疲れている体への配慮も必ず入ります。
通常のトレーニングより、「質」を重視し、疲れさせすぎないペースで進めることが大切です。
自宅課題も、これまでのシリーズと同じく短時間・痛みゼロが原則です。
さらに、育児ストレスの中での自宅運動なので、「完璧にやる」のではなく、「できる範囲で続ける」ことが目標です。
今日からできること
まずは絶対に無理はしないでください。
出血が多い、強い痛みがある、めまいやふらつきが強い場合は、中止して医療専門家へご相談しましょう!
また、以下の運動を始める前に、必ず主治医に相談し、許可を得てください。
- 仰向けでの骨盤底と呼吸の活性化(目安:3呼吸×3セット、1日1回)
膝を立てて仰向けになり、坐骨で床を感じます。鼻からゆっくり吸い、吐く時に「骨盤の底をキュッと上に引き上げる」イメージで、軽く力を入れます。
吸う時は力を抜く。この動きが骨盤底と呼吸の連動です。無理に強く収縮させないこと。呼吸が止まったら即中止。 - 四つん這い姿勢での体幹の安定化(目安:5呼吸×2セット、1日1回)
四つん這いになり、肩の下に手、腰の下に膝が来るように調整します。このとき背中が過度に沈んだり、お尻が上がったりしないように。
軽くお腹に力を入れ、「背骨が一直線」のイメージを保ちながら、5呼吸キープ。疲れたらすぐ休む。 - 立ち上がりの分解練習(目安:5回×2セット、1日1回)
椅子に座り、立つ前に上半身を軽く前に倾けます。その時、骨盤底がやさしく下垂する感覚を感じながら、ゆっくり立ちます。
座る時も同じ。急な動き、バタバタした動作は避け、「コントロール感」を大切に。赤ちゃんを抱っこしながらは避けてください。
まとめと次の一歩
産後の体は、妊娠・出産という大きな変化を経ています。
骨盤や骨盤底の機能は、時間とともに自然に戻る部分もありますが、正しい動きのパターンを意識的に再学習することで、回復が大きく加速します。
レッドコード整体は、免荷で体への負担を最小限に抑え、痛みゼロの環境で、骨盤と骨盤底、そして体幹全体の協調性を段階的に取り戻す手段です。
医療連携の下で、安全に、確実に進めることができます。
大切なのは、「早く元に戻さなきゃ」と焦らないこと。
育児は体力を消耗させます。できることから、無理のないペースで、少しずつ進めていきましょう!
参考文献
産後の骨盤底筋トレーニングは尿失禁・肛門失禁を減らせるか:評価者盲検ランダム化比較試験(Can postpartum pelvic floor muscle training reduce urinary and anal incontinence?)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31526791/ (PubMed)産後の骨盤底筋トレーニングによる尿失禁の予防・治療効果:1年間の追跡
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10955436/ (PubMed)産後の運動が骨盤底障害と腹直筋離開に及ぼす影響:系統的レビューとメタ解析
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39694630/ (PubMed)慢性腰痛に対するモーターコントロール運動・スリング運動・一般的運動の比較:1年追跡付きランダム化比較試験
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20671099/ (PubMed)慢性腰痛患者におけるスリング上側臥位ブリッジへのNeurac振動統合の効果:ランダム化比較研究
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30183453/ (PubMed)
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