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【むち打ち症解説シリーズ】第4回:めまい・ふらつきの正体〜脳が感じる“位置情報”のズレとは?〜

むち打ち後に多くの人が悩む“フワフワ”としためまい・ふらつきは、首に集中する固有受容器の損傷による位置情報のズレが原因であることが科学的に裏付けられ、正しい理解によって不安が解消し回復への第一歩を踏み出せます。

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この記事を監修している人:奥村龍晃(柔道整復師資格保有)
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こんにちは!

脊柱側弯症専門のフィジカルバランスラボ整体院、
院長の奥村龍晃です。

「先生、事故の後からなんだかフワフワするような、雲の上を歩いているみたいな感じがするんです」
「まっすぐ歩いているつもりなのに、なんとなく身体が傾くような気がして怖くて…」

むち打ち症を経験された患者さんから、このような切実な悩みを打ち明けられることが少なくありません。
首の痛みだけでなく、多くの人を苦しめるのが、この「めまい」や「ふらつき」といった症状です。

耳鼻科や脳神経外科で精密検査を受けても、「特に異常はありません」と言われてしまい、原因が分からないまま不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

「じゃあ、このフワフワする感じは一体何なんだろう?」そう思いますよね。
でも、安心してください。そのめまいには、ちゃんと理由があります。
そして、その原因は、意外な場所…「首」そのものにあることが多いんです。

めまいの原因は「耳」だけではなかった

一般的に「めまい」と聞くと、多くの方が耳の奥にある「三半規管」を思い浮かべるかと思います。
もちろん、それもめまいの主要な原因の一つです。

しかし、むち打ち症の後に見られるめまいは、少しタイプが異なります。

グルグルと目が回るような回転性のめまいよりも、「フワフワ、ユラユラする」「自分の身体じゃないみたい」といった、浮動感不安定感を訴える方が多いのが特徴です。

このタイプのめまいの鍵を握るのが、僕たちの身体に備わっている「固有受容器(こゆうじゅようき)」というセンサーです。

「こゆうじゅようき…?」初めて聞く言葉かもしれませんね。
簡単に言うと、これは「自分の身体の各パーツが、今どんな状態にあるか」を脳に伝えるための、超高性能なセンサーのことです。

例えば、目を閉じたままでも、自分の肘がどのくらい曲がっているか、膝が伸びているか、なんとなく分かりますよね。
これがまさに、固有受容器のおかげなんです。
この「目に見えない身体の感覚」のことを、専門的には「関節位置覚(かんせついちかく)」と呼びます。

首のセンサーが発信する「SOS信号」

では、この固有受容器(センサー)と、むち打ち後のめまいがどう関係するのでしょうか。

実は、このセンサーは筋肉や関節の周辺にたくさん分布しているのですが、特に首の筋肉や関節には、全身の中でも特に高密度に集中していることが分かっています。

なぜなら、脳という司令塔を支える首は、頭の重さ(約5~6kg)を支えながら、その位置や傾きをミリ単位で正確に脳へ伝え続けるという、極めて重要な役割を担っているからです。

しかし、交通事故などで急激な衝撃が首にかかるとどうなるでしょう。
筋肉や靭帯といった組織が傷つくだけでなく、この精密なセンサーである固有受容器までダメージを受けてしまうのです。

センサーがダメージを受けると、脳に送られる情報に「誤差」が生じ始めます。
「今、首はまっすぐです」と報告すべきところを、「少し右に傾いているかも…?」といった具合に、不正確な情報を送ってしまう。
これが、身体の位置感覚、つまり関節位置覚の乱れです。

実際に、このテーマに関する数多くの研究を分析したある論文では、非常に興味深い結論が示されています。

「むち打ち症の患者さん、特にめまいを訴える患者さんは、そうでない患者さんと比べて、首の位置を正確に把握する能力(関節位置覚)が、科学的に見ても明らかに低い。」

これは、多くの患者さんが感じている「なんだかよく分からない、ふらつく感じ」が、気のせいなどではなく、首のセンサー機能の低下という明確な根拠に基づいていることを示しています。

なぜ脳が混乱し、「めまい」が生まれるのか

「首のセンサー情報がズレることが、なぜ“めまい”になるの?」

良い質問ですね。
そのメカニズムを理解するために、少しだけ脳の働きを覗いてみましょう。

僕たちの脳は、空間の中で自分の身体がどうなっているかを把握するために、主に3つの情報を統合しています。

  • 目からの情報(視覚)
  • 耳(三半規管)からの情報(前庭覚)
  • 身体のセンサーからの情報(固有受容覚)

普段、これら3つの情報は互いに連携し合い、「今、自分はまっすぐ立っている」「右に振り向いた」といった正確な状況認識を生み出しています。

ところが、むち打ちによって首のセンサー(固有受容器)からの情報だけが不正確になると、脳の中で大混乱が起きてしまいます。

目:「景色は止まってるよ」
耳:「身体は揺れてないよ」
首:「いや、なんか傾いてる気がする…!」

このように、それぞれから送られてくる情報に食い違いが生まれると、脳は「一体どれが正しいんだ!?」とパニックに陥ります。
この脳の情報処理の混乱こそが、私たちが「めまい」や「ふらつき」として体感する感覚の正体なのです。

「レントゲンを撮っても異常なしと言われたのに…」と落ち込む必要はありません。
骨の形に問題がなくても、こうした「機能」、つまりセンサーの働きや情報の伝達に問題が起きている。
それが、むち打ち後の不調の核心であり、画像検査には映らない真実なのです。

まとめ:原因が分かれば、道は拓ける

今回は、むち打ち症の後に多く見られる「めまい」や「ふらつき」の正体について解説しました。

  • むち打ち後のめまいは、首にあるセンサー(固有受容器)の機能不全が主な原因。
  • センサーの損傷により、脳に送られる身体の位置情報(関節位置覚)にズレが生じる。
  • 視覚や平衡感覚の情報と、首からのズレた情報との間で脳が混乱し、めまいとして感じる。

自分の身体で何が起きているのかを正しく理解することは、不安を解消し、回復への道を力強く歩むための最初の、そして最も重要な一歩です。

「原因は分かったけれど、じゃあどうすればいいの?」と思いますよね。
次回は、まさにその点、「レントゲンで異常なし」と言われる問題の、さらに奥深くを掘り下げていきます。
なぜ画像に映らない問題がこれほどまでに重要なのか、その真実に迫っていきましょう。

 

参考文献

 

むち打ち関連障害患者における関節位置覚および静的立位バランスの変化に関するメタアナリシスと系統的レビュー

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33831060/ (PubMed)

むち打ち損傷後のめまいおよび不安定感

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12610847/ (PubMed)

頸椎障害患者におけるめまい・不安定感・視覚障害と感覚運動制御:評価と治療への示唆

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28622488/ (PubMed)

頸性めまいを診断するための方法

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29340206/ (PubMed)

頸部関節位置誤差とバランスおよび眼球運動制御との関係

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15919229/ (PubMed)

 

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