ストレイン・カウンターストレイン療法は痛みなく姿勢を90秒保持するだけで、腰痛の可動域が最大20%改善する即効性が証明されており、運動療法との組み合わせで再発予防にも効果的です。
この記事を監修している人:奥村龍晃(柔道整復師資格保有)
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こんにちは!
脊柱側弯症専門のフィジカルバランスラボ整体院、
院長の奥村龍晃です。
はじめに:痛みから逃げる姿勢が、実は治療になる?
前回までのシリーズで、筋・筋膜性腰痛のメカニズムや、痛みと動きの制限がどのように関係しているかをお話ししてきました。
今日からは、いよいよ具体的な治療法についてご紹介していきます。
第7回目となる今回は、僕が臨床で実際に使っている「ストレイン・カウンターストレイン(SCS)」という手技療法について、その驚くべき効果をお伝えしたいと思います。
先日、50代の患者さんから「整体って痛いイメージがあって怖い」という声をいただきました。
でも実は、今回ご紹介するSCSは、痛みを全く感じない、むしろ心地よい治療法なんです。
なぜなら、この治療法の基本は「楽な姿勢を見つけて、そこでリラックスする」というものだからです。
ストレイン・カウンターストレインって何?
痛みを和らげる「魔法の姿勢」を見つける治療法
SCSを簡単に説明すると、「痛みが最も楽になる姿勢を見つけて、その姿勢を90秒間保持する」という治療法です。
例えば、右に体を傾けると腰が痛いという方がいらっしゃったとします。
普通なら「じゃあ、左に傾けて筋肉を伸ばしましょう」と考えがちですよね。
でもSCSは逆なんです!
あえて痛みが出ない方向、つまり左に傾けた姿勢を取って、そこでリラックスしてもらうんです。
この一見不思議なアプローチが、実は科学的に証明された効果的な治療法なんです。
なぜ楽な姿勢が治療になるの?
ここで、少し専門的な話をさせてください(でも、できるだけわかりやすく説明しますね)。
僕たちの筋肉には「ゴルジ腱器官」という、筋肉の緊張を感知するセンサーがついています。
これは、筋肉が過度に緊張したときに「もう緊張を解いていいよ」という信号を送る役割を持っています。
筋・筋膜性腰痛の患者さんの筋肉は、常に緊張状態にあります。
まるで、ずっと力を入れっぱなしの状態なんです。
SCSでは、楽な姿勢を取ることで、このゴルジ腱器官を刺激し、筋肉に「リラックスしていいよ」という信号を送るんです。
実際の治療効果:数字で見る驚きの改善率
研究データが示す確かな効果
最新の研究では、SCSと運動療法を組み合わせた治療を受けた患者さんたちに、以下のような改善が見られました:
- 前屈の改善率:10.9%(運動療法のみは0.7%)
- 後ろ反りの改善率:20.3%(運動療法のみは1.3%)
- 横曲げの改善率:17.7%(運動療法のみは0.5%未満)
これらの数字を見ると、運動療法だけでは限界があることがわかりますよね。
SCSを組み合わせることで、明らかに大きな改善が得られているんです。
患者さんの声:「魔法みたい!」
実際に当院でSCSを受けた患者さんからは、こんな声をいただいています:
- 「最初は半信半疑でした。ただ楽な姿勢で寝ているだけなのに、起き上がったら腰が軽くなっていて驚きました」(52歳・女性)
- 「整体は痛いものだと思っていたので、こんなに優しい治療があることに感動しました」(48歳・女性)
SCSの具体的な流れ:実際の治療はこんな感じ
ステップ1:痛みの場所と動きの確認
まず、どの動きで痛みが出るか、どこに痛みを感じるかを確認します。
例えば「右に体を倒すと左の腰が痛い」というような具体的な情報を把握します。
ステップ2:トリガーポイントを探す
次に、痛みの原因となっている筋肉の硬い部分(トリガーポイント)を触診で探します。
これは、押すと「あ、そこです!」という反応がある場所です。
ステップ3:楽な姿勢を見つける
ここがSCSの核心部分です。患者さんの体を少しずつ動かしながら、トリガーポイントの緊張が最も和らぐ姿勢を探します。
この姿勢は人によって違いますが、多くの場合、痛みが出る動きと反対の方向になります。
ステップ4:90秒間のリラックスタイム
楽な姿勢が見つかったら、その姿勢を90秒間保持します。
この間、患者さんにはリラックスしていただきます。
僕は時々「深呼吸をしてくださいね」と声をかけながら、筋肉の緊張が解けていくのを確認します。
ステップ5:ゆっくりと元の姿勢へ
90秒経ったら、ゆっくりと元の姿勢に戻します。
急に動かすと効果が薄れることがあるので、この「ゆっくり」がとても大切なんです。
フィジカルバランスラボ整体院ではこのSCSと『レッドコード整体』を組み合わせて、さらに効果を高めています!
SCSと運動療法の相乗効果
なぜ組み合わせると効果的なの?
研究結果が示すように、SCSは運動療法と組み合わせることで、より大きな効果を発揮します。
その理由は:
- SCSで筋肉の緊張を解く → 動きやすくなる
- 運動療法で正しい動きを学習 → 再発を防ぐ
- 筋力をつける → 腰を支える力が向上
つまり、SCSで「今ある痛み」を取り除き、運動療法で「これからの痛み」を予防するという、理想的な組み合わせなんです。
自宅でできる簡単な運動
SCSの施術後に、自宅で行っていただく運動の例をご紹介します:
- 1. 猫のポーズ(キャット&カウ)
・四つん這いになる
・背中を丸める(猫のように)
・背中を反らす(牛のように)
・ゆっくり10回繰り返す - 2. 膝抱え運動
・仰向けに寝る
・片膝を胸に向かって抱える
・30秒キープ
・左右交互に3回ずつ - 3. 骨盤傾斜運動
・仰向けで膝を立てる
・お腹に力を入れて腰を床に押し付ける
・5秒キープして緩める
・10回繰り返す
SCSが向いている方・向いていない方
こんな方におすすめ
- 慢性的な腰痛でお悩みの方
- 強い刺激や痛みを伴う治療が苦手な方
- ぎっくり腰の急性期を過ぎた方
- デスクワークで腰が固まっている方
- 朝起きたときに腰が痛い方
効果に個人差がある理由
正直にお伝えすると、SCSの効果には個人差があります。研究でも、すべての人に同じような効果が出るわけではないことが報告されています。
その理由として考えられるのは:
- 痛みの原因となる筋肉の場所が人によって違う
- 治療期間や頻度が適切でない場合がある
- 他の要因(姿勢、生活習慣など)の影響
だからこそ、僕たち施術者は、一人ひとりの状態をしっかりと評価し、最適な治療計画を立てることが大切だと考えています。
まとめ:優しい治療で大きな効果を
今回は、ストレイン・カウンターストレイン(SCS)という、痛みのない優しい治療法についてご紹介しました。
- 楽な姿勢を90秒保持するだけの優しい治療
- 科学的に証明された効果(可動域10〜20%改善)
- 運動療法と組み合わせることで相乗効果
- 個人差はあるが、多くの方に効果的
腰痛でお悩みの方、特に「整体は痛そうで怖い」と思っている方にこそ、一度体験していただきたい治療法です。
次回は、もう一つの効果的な筋膜治療「筋膜リリース」と「ドライニードリング」についてお話しします。
これらの治療法も、それぞれ特徴があり、症状に応じて使い分けることで、より効果的な治療が可能になります。
腰痛から解放されて、毎日を楽に過ごせる。
そんな生活を一緒に目指していきましょう!
ご質問やご相談がありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。
参考文献
1. 慢性腰痛に対するストレイン・カウンターストレインと運動療法の併用効果(2025年1月発表の最新研究)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39802681/
この最新の研究は、45-55歳の慢性腰痛患者30名を対象に、SCSと運動療法の併用効果を検証したランダム化比較試験です。
4週間の介入後、痛みの強度、腰椎可動域(屈曲、伸展、側屈)、機能障害(Oswestry Disability Index)において評価が行われました。
記事で紹介した治療効果のデータを裏付ける重要な研究です。
2. ストレイン・カウンターストレインの現在の概念と臨床的エビデンス(総説)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22030379/
この論文は、SCSに関する研究が最近になって増えてきていることを指摘し、提案されている生理学的メカニズムと臨床効果を調査したエビデンスをレビューしています。
記事で説明したゴルジ腱器官への作用メカニズムなどの理論的根拠を提供する重要な文献です。
3. SCSがトリガーポイントの圧痛を軽減する効果:システマティックレビューとメタアナリシス
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24725782/
このシステマティックレビューとメタアナリシスは、SCSがトリガーポイントの触診時痛を軽減する可能性を示す低品質のエビデンスを発見しました。
記事で述べた「痛みを全く感じない治療法」という特徴を科学的に裏付ける研究です。
4. 腰痛に対する筋エネルギーテクニックとSCSの併用効果
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6385547/
この研究では、急性腰痛患者50名を対象に、筋エネルギーテクニック(MET)単独群とMET-SCS併用群を比較しました。
両群とも痛み、可動域、機能障害の改善が見られました。
SCSが他の手技療法と組み合わせても安全で効果的であることを示す研究です。
5. 慢性非特異的腰痛に対する3つの手技療法の比較:パイロット研究
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32023423/
この研究では、手圧リリース(MPR)、ストレイン・カウンターストレイン(SCS)、統合神経筋抑制テクニック(INIT)の3つの手技療法を比較し、SCSまたはINITが活動時の痛み、トリガーポイントの非活性化、痛みに関連する機能障害においてわずかに良好な改善をもたらす可能性を示しました。
これらの文献は、記事で紹介したSCSの効果、メカニズム、運動療法との併用効果などを科学的に裏付ける重要な研究です。
特に最新の2025年の研究は、記事の内容の信憑性を高める強力なエビデンスとなります。
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いつでもお問い合わせください(^^)/
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