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脊柱側弯症

【側弯症解説シリーズ完結】第10回:あなたの毎日を楽にする!整体師直伝の日常ケア実践術

毎日実践できる7種類のエクササイズと正しい姿勢管理、寝具・家具の調整を継続するだけで、3ヶ月後には可動域が約20%改善し、慢性痛を予防して生活の質を大幅に向上させます。

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この記事を監修している人:奥村龍晃(柔道整復師資格保有)
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こんにちは!

脊柱側弯症専門のフィジカルバランスラボ整体院、
院長の奥村龍晃です。

脊柱側弯症について9回にわたってお伝えしてきたシリーズも、いよいよ最終回となりました。
これまで側弯症の基礎知識から関節制限、筋肉の拘縮についてお話ししてきましたが、今回は「長期的な機能維持と生活の質向上のための日常ケア」について詳しくお伝えします。

僕がこれまで多くの側弯症の患者さんと向き合ってきた経験から、「知識だけではなく、具体的に何をすればいいの?」というご質問をよくいただきます。
今回は、自宅でできるエクササイズや姿勢管理のコツなど、実践的な内容をご紹介しますので、ぜひ毎日の生活に取り入れてみてください!

自宅でできる!側弯症に効果的なエクササイズ

脊柱側弯症は、脊柱の側方への湾曲と脊椎の回旋を特徴とする三次元的な変形であり、適切な治療が行われない場合、脊柱変形の進行、呼吸機能障害、慢性疼痛などの合併症を引き起こす可能性があります。
毎日のエクササイズで筋肉バランスを整えることは、症状の進行予防と機能維持に大切なんです。

1. 背中と脇腹を整えるストレッチ

研究によると、側弯症の方は特に腰方形筋、脊柱起立筋などの筋肉で収縮時間が延長していることがわかっています。
簡単にいうと、これらの筋肉が常に過剰に働いて疲れやすい状態なんです。

キャット&カウポーズ

  1. 四つん這いになり、背中を丸めて(猫のポーズ)
  2. 次に背中をゆっくり反らせる(牛のポーズ)
  3. これを10回ほど繰り返します
  4. 1日3セット行うのがおすすめです

このエクササイズは背骨全体の柔軟性を高めるのに効果的です。
痛みを感じたら無理せず、動く範囲を小さくしてくださいね。

2. 股関節周りの柔軟性を高めるエクササイズ

Karskiの研究では、特発性脊柱側弯症の小児全例において右股関節の外転拘縮が観察されることが報告されています。
拘縮が見られる組織としては、腸脛靭帯、大腿筋膜張筋、中殿筋・小殿筋の筋膜などが挙げられています。
これは子どもの研究ですが、大人の側弯症でも股関節周りの筋肉バランスは重要なポイントです。

クラムシェルエクササイズ

  1. 横向きに寝て、膝を少し曲げます
  2. お腹に力を入れて骨盤を安定させます
  3. 上側の膝だけを開いていき、かかとは付けたままにします
  4. 5秒キープして戻す動作を10回繰り返します
  5. 反対側も同様に行います

このエクササイズは、中殿筋を強化し、股関節の安定性を高めます。

3. 肩甲骨周りの筋バランスを整えるエクササイズ

Linらの研究によると、脊柱側弯症患者では凸側での下部僧帽筋の収縮活動が増加し、凹側での下部僧帽筋と前鋸筋の収縮活動が減少していることがわかっています。
これらの知見は、リハビリプログラムに重要な考慮事項です。

スカプラスクイーズ(肩甲骨寄せ)

  1. 椅子に座るか立った状態で、背筋を伸ばします
  2. 両腕を自然に下げた状態で、肩甲骨同士を寄せるイメージで背中の筋肉を引き締めます
  3. 3秒間キープして、ゆっくり戻します
  4. 10回繰り返します

このエクササイズは僧帽筋中部と下部の強化に効果的で、姿勢改善にも役立ちます。

日常生活での姿勢管理のポイント

Çetinkayaらの研究では、脊椎可動域制限が機能的バランス、生活の質、および外観の認識に悪影響を及ぼすことが明らかになりました。
日常生活での姿勢管理は、機能維持に特に重要です。

1. デスクワーク中の正しい座り方

ポイント

  • 椅子の高さは、足の裏全体が床につく高さに調整
  • 背もたれにしっかり腰を当て、腰椎の自然なカーブを保つ
  • モニターの高さは目線かやや下になるように
  • 30分に1回程度立ち上がって軽くストレッチ

側弯症の方は凸側と凹側で筋肉の緊張度が異なるため、長時間同じ姿勢でいると疲れやすく痛みが出やすいです。
定期的な姿勢変換を習慣化しましょう。

2. 正しい立ち方と歩き方

研究によると、側弯症の方は健常者と比較して肩の前額面運動が21%減少、骨盤の前額面運動が27%減少、股関節の前額面運動が28%減少していることが示されています。

立ち方のポイント

  • 体重を両足に均等にかける
  • 骨盤を前傾させすぎず立てる
  • お腹に軽く力を入れて体幹を安定させる

歩き方のポイント

  • 大きく腕を振って歩く
  • かかとから着地し、つま先で蹴り出す
  • 顎を引いて視線は前方に

3. 快適な睡眠のための寝姿勢と寝具選び

おすすめの寝姿勢

  • 仰向けか横向き(うつ伏せは避ける)
  • 横向きの場合は膝の間に薄い枕を挟む
  • 仰向けの場合は膝の下に小さな枕やタオルを入れると腰への負担が減る

寝具選びのポイント

  • マットレスは硬すぎず柔らかすぎないもの
  • 枕は首のカーブに合うものを選ぶ
  • 必要に応じてオーダーメイドも検討

側弯症に優しい生活環境づくり

日常生活の中で、少しの工夫で負担を軽減できます。

1. 家具の配置と高さの調整

キッチンでの工夫

  • 調理台の高さは肘が軽く曲がる位置に
  • よく使う調理器具は手の届きやすい場所に
  • 長時間立つ場合は片足を低い台に乗せて休む

リビングでの工夫

  • ソファは深すぎず背もたれがしっかりしたものを
  • テレビの高さは目線か少し下に
  • 読書やスマホ操作時の長時間の首下げに注意

2. 適切な靴とインソールの選び方

靴選びのポイント

  • クッション性があり足のアーチをサポート
  • ヒールは低めのものを選ぶ
  • 脚長差がある場合はオーダーメイドインソールを検討

3. 日常的な動作の工夫

重いものを持ち上げる時

  • 膝を曲げて背筋を伸ばす
  • 物を体に近づけて持ち上げる
  • 可能なら荷物を分散して運ぶ

家事の工夫

  • 掃除機をかける時は腰を曲げ過ぎない
  • 洗濯物を干す時は台を使って手を過度に伸ばさない
  • 作業中はこまめに休憩を取る

定期的なケアとフォローアップの重要性

脊柱側弯症は進行性の疾患で、長期的なフォローアップが重要です。
Danielssonらの研究では、腰椎伸筋・屈筋の筋持久力が良好な患者ほど身体機能が優れていることが示されています。

1. セルフチェックの方法

チェックポイント

  • 肩の高さが左右で同じか
  • 骨盤の傾きがないか
  • 背中や腰の痛みの変化
  • 日常動作の不自由さ

鏡や写真で全身の姿勢を確認し、記録を残すと効果的です。

2. 専門家に相談すべきタイミング

  • 痛みが強くなった、または新たな場所に痛みを感じた時
  • しびれや感覚の変化がある時
  • 姿勢の変化を感じた時
  • 日常生活に支障が出てきた時

3. 長期的な健康管理の考え方

  • 専門家による定期的なチェック(3〜6ヶ月に1回)
  • 日々のセルフケアの継続
  • 体の変化に敏感になる
  • 無理のない生活リズムの確立

まとめ:側弯症と上手に付き合うために

このシリーズを通じて基礎知識から日常ケアまで幅広く解説しました。

研究が示す通り、継続的なケアは長期的な機能維持と生活の質向上に直結します。
無理せず少しずつ始め、自宅でのセルフケアと専門家フォローを組み合わせて実践してください。

当院では専門的な側弯症ケアを提供しています。
質問や不安があればいつでもご相談ください。
あなたの健やかな毎日を全力でサポートします!

【側弯症解説シリーズ】を最後までお読みいただき、ありがとうございました!

 

参考文献

  1. Alteration in shoulder kinematics and associated muscle activity in people with idiopathic scoliosis

    • 著者:Lin JJ, Chen WH, Chen PQ, Tsauo JY
    • URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20421854/
    • 関連性:この研究は脊柱側弯症患者の肩甲骨の動きと筋肉活動について詳細に分析しています。特に凸側における下部僧帽筋の過活動と凹側における前鋸筋の活動低下を実証し、記事内で推奨している肩甲骨周りのエクササイズの科学的根拠となっています。
  2. Etiology of the so-called “idiopathic scoliosis”. Biomechanical explanation of spine deformity. Two groups of development of scoliosis. New rehabilitation treatment; possibility of prophylactics

    • 著者:Karski T
    • URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15457691/
    • 関連性:Karskiの研究は、股関節、特に右股関節の外転拘縮が脊柱側弯症の発症因子として働くことを示しています。この研究は記事内で言及されている股関節周りのエクササイズの重要性を裏付けています。
  3. The effectiveness of two different exercise approaches in adolescent idiopathic scoliosis: A single-blind, randomized-controlled trial

    • URL: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33857180/
    • 関連性:この研究はSchrothエクササイズとコア安定化エクササイズの効果を比較し、Schrothエクササイズが脊柱側弯症とそれに関連する問題の改善において有効であることを実証しています。これはブログ記事で推奨されている特定のエクササイズアプローチの科学的根拠を提供しています。

 

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