本記事では、脊柱側弯症の保存的治療(装具療法や理学療法)と手術療法(後方固定術など)が、20年以上にわたる研究で示された関節可動域変化や生活の質への影響を踏まえ、自身に最適な治療選択の指針を提供します。
この記事を監修している人:奥村龍晃(柔道整復師資格保有)
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こんにちは!
脊柱側弯症専門のフィジカルバランスラボ整体院、
院長の奥村龍晃です。
この記事では、脊柱側弯症シリーズ第8回をお届けします。
前回は側弯症患者さんの歩行パターンの変化と脊柱周囲筋の活動異常についてお話ししました。
今回は治療選択肢と関節可動域への影響について、わかりやすくお伝えします!
なぜ治療法の選択が重要なの?
脊柱側弯症の治療法には大きく分けて「保存的治療」と「手術療法」があります。
どちらを選ぶかは、側弯の程度や年齢、生活スタイルなどによって変わってきますが、関節の動きやすさ(関節可動域)への影響も重要な判断材料になります。
僕がこの業界で15年以上患者さんと向き合ってきた経験から言えるのは、「治療の選択は未来の生活の質を左右する」ということ。
特に50代の女性の方々は、将来の活動性を維持するために最適な選択をしたいと考えていらっしゃいます。
今回は、それぞれの治療法が関節可動域にどんな影響を与えるのか、研究結果を踏まえてお話しします。
保存的治療と外科的治療の違い
保存的治療とは?
保存的治療は手術をせずに側弯症に対処する方法です。主に以下のようなものがあります:
- 装具療法:特別に作られたコルセットで脊柱を支える方法
- 理学療法:ストレッチや筋力トレーニングで体のバランスを整える
- カイロプラクティック・整体:関節の可動性改善や筋バランスの調整
特に装具療法は10〜15歳の成長期の子どもで、25〜40度の側弯に効果的とされています。
外科的治療(手術)とは?
側弯の角度が45〜50度以上になると、手術が検討されることが多くなります。
代表的な手術は:
- 後方脊椎固定術:背中側から金属の棒やネジで脊椎を固定する
- 前方脊椎固定術:前から脊椎にアプローチする
- 前方椎体テザリング:成長中の子どもに対して、柔軟なコードで脊椎を固定して成長をコントロール
治療法による関節可動域への影響
保存的治療の場合
装具治療の場合、治療中は胸郭や脊柱の動きが一時的に制限されますが、装具を外せば可動域は回復します。
ただし、長期的には装具治療を受けた患者さんでは、20年後には腰椎脊椎可動域が健常者より減少していることがわかっています。
特に重要なのは、腰椎脊椎可動域が減少した装具治療患者さんは、対照群と比較して腰痛を経験する頻度が高いという研究結果です。
これは日常生活での痛みにも直結する大切なポイントです。
手術治療の場合
後方脊椎固定術(PSF)を受けた患者さんは、冠状面(横に曲げる動き)、矢状面(前後に曲げる動き)、横断面(体を回す動き)で脊椎運動が制限されます。
特に固定術の範囲が広いほど(最下位固定椎体レベルが低いほど)、脊椎の可動域制限が大きくなる傾向があります。
この可動域制限は単に体の動きづらさだけでなく、機能的バランス、生活の質、および外観の認識にも悪影響を及ぼすことが研究で明らかになっています。
特に、矢状面と横断面での可動域制限は、機能的バランスの低下と強く関連していました。
長期的な影響比較
装具治療および手術治療を受けた思春期特発性脊柱側弯症患者さんを対象にした研究では、治療完了から20年以上経過した後も、両治療群とも対照群と比較して脊椎可動域および筋持久力が有意に減少していました。
特に興味深いのは、腰椎伸筋および屈筋の筋持久力や腰椎脊椎可動域が良好な患者さんほど、身体機能が良好であるという結果です。
これは長期的な生活の質を考えると、とても重要なポイントになります。
最新の治療法:前方椎体テザリング
最近注目されている治療法に「前方椎体テザリング」があります。
これは成長中の子どもの脊椎を柔軟なコードで固定し、成長過程で徐々に湾曲を修正していく方法です。
この方法の最大のメリットは、従来の固定術と違って脊椎の可動性を保ちながら側弯を矯正できる可能性がある点です。
ただし、まだ長期的な研究結果が十分ではないため、慎重な経過観察が必要です。
治療選択時に考えるべきポイント
側弯症の治療法を選ぶときには、以下のポイントを総合的に考えましょう:
- 側弯の角度と進行速度:軽度の場合は保存的治療が中心
- 年齢と成長の余地:成長期の子どもと成人では選択肢が異なる
- 日常生活での活動性:スポーツや趣味など活動的な生活を望む場合は可動域への影響も考慮
- 将来の合併症リスク:放置した場合の進行リスクと治療による制限のバランス
- 関節可動域への影響:特に中年以降の生活の質に大きく影響
フィジカルバランスラボ整体院がサポートすること
当院では以下のようなサポートを提供します:
- 治療オプションについての情報提供
- 関節可動域と筋バランスの詳細評価
- 保存的治療中の関節可動域維持プログラム
- 手術前後のリハビリテーションサポート
- 長期的な機能維持プログラム
当院での具体的な取り組み
1. 保存的治療中の方へのアプローチ
装具療法中の方には、装具を外している時間に行える「関節可動域維持プログラム」をご提案しています。
特に胸郭の柔軟性維持と脊柱周囲筋のバランス調整に重点を置いています。
2. 手術前の方へのアプローチ
手術を検討されている方には、手術前の身体機能を最大化するためのプログラムをご提供。
これにより、術後のリハビリがスムーズに進むよう準備します。
3. 手術後の方へのアプローチ
固定術後の方には、残された脊椎部分の可動性を最大化し、固定された部分を補うための代償機能向上プログラムを実施。
特に股関節と肩甲骨の可動性改善に注力します。
実際に改善された方の例
Aさん(56歳、女性)の場合:10年前に胸椎から上部腰椎まで固定術を受けられましたが、最近になって腰痛と体の硬さを感じるようになり当院に来られました。
当院での評価で、腰椎下部と股関節の可動域制限が見られたため、これらの部位の柔軟性改善と腹筋・背筋のバランストレーニングを3ヶ月実施。
結果、腰痛が軽減し、歩行時の安定性も向上しました。
「もっと早く知っていれば…」とおっしゃるAさんのような方が大勢いらっしゃいます。
治療後も定期的なケアで機能を維持することの大切さを実感していただいています。
まとめ:未来を見据えた選択を
脊柱側弯症の治療は、その時点の変形を改善するだけでなく、10年、20年先の生活の質にも大きく影響します。
特に関節可動域は日常生活の動作のしやすさに直結するため、治療選択の重要な判断材料になります。
当院では、どのような治療段階の方でも、現在の状態から最大限の機能を引き出すサポートをいたします。
最適な選択をするためのお手伝いをさせていただきますので、お気軽にご相談ください!
参考文献
- 「後方脊椎固定術が関節可動域と生活の質に与える影響」に関する研究
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37943401/ - 「脊柱側弯症における脊椎の可動域と手術的治療後の変化」に関する包括的レビュー
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34909319/ - 「固定範囲が腰椎可動域に与える影響」に関する臨床研究
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23873237/ - 「装具治療と手術治療の20年以上の長期フォローアップ結果」に関する研究
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16449899/ - 「前方椎体テザリングと後方脊椎固定の比較」に関する最新研究
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33683642/
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