本記事は、脊柱側弯症の方は歩行時に肩・骨盤・股関節の動きが約20–30%減少し、背骨周りの筋肉が通常より11%余計に収縮するため疲労感が増しますが、1日10分の簡単なエクササイズで自然な歩き方を取り戻せると研究で示されています。

この記事を監修している人:奥村龍晃(柔道整復師資格保有)
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こんにちは!
脊柱側弯症専門のフィジカルバランスラボ整体院、
院長の奥村龍晃です。
脊柱側弯症シリーズも第7回目になりました。
前回は肩甲骨と肩周りの筋肉について解説しましたが、今回は「歩き方」と「背骨周りの筋肉」にスポットを当ててみたいと思います。
実は脊柱側弯症の方は、ご自身では気づかないうちに歩き方が変化していることが多いんです。
「最近、歩くとすぐ疲れる」「長距離歩くと腰が痛くなる」という症状も、この歩き方の変化が関係しているかもしれません。
脊柱側弯症の方の歩き方、どう変わる?
海外の研究によると、脊柱側弯症の方の歩き方には特徴があることがわかっています。
僕がいつも患者さんで観察するのは以下のような変化です。
- 肩の横方向の動き:通常より約21%減少
- 骨盤の横方向の動き:通常より約27%減少
- 股関節の横方向の動き:通常より約28%減少
- 股関節のねじれる動き:通常より約22%減少
簡単に言うと、歩く時の「身体の揺れ」や「回転」が少なくなっているんです。
以前、60代の女性患者さんが「娘に歩き方が硬いって言われたけど、こういうことだったのね」と気づかれたことがありました。
驚き!軽度の側弯症でも歩き方は変わる
特に興味深いのは、軽度の側弯症(20度未満)でも、これらの変化が見られるということ。
側弯の角度が大きくないからといって、歩き方への影響がないわけではないんです。
「私の側弯は軽いから大丈夫」と思っている方も、知らず知らずのうちに歩き方が変化し、それが腰痛や疲れやすさにつながっているかもしれません。
背骨周りの筋肉の異常な活動パターン
では、なぜ歩き方が変わるのでしょうか?
それは背骨周りの筋肉の働き方に秘密があります。
筋肉の収縮時間が長くなっている!
通常、歩く時の筋肉は「収縮→リラックス」というリズムを繰り返します。
しかし、側弯症の方では以下のような変化が見られます:
- 健康な方:歩行の35%の時間で筋肉が収縮
- 側弯症の方:歩行の46%の時間で筋肉が収縮
つまり、側弯症の方は筋肉を「余計に使っている」状態なんです!
これでは疲れやすくなるのも納得ですよね。
特に影響を受ける4つの筋肉
- 腰方形筋:腰の横にある四角い形の筋肉
- 脊柱起立筋:背骨に沿って縦に走る筋肉
- 中殿筋:お尻の横側にある筋肉
- 半腱様筋:太もも裏側の筋肉
これらの筋肉は、まさに腰と骨盤周りの安定に重要な筋肉です。
これらが常に緊張していると、腰痛や疲労感につながります。
50代の女性患者さんからは「歩いた後に腰の横が特に痛くなる」というお声をよく聞きますが、これは腰方形筋の過度な緊張が原因かもしれません。
歩き方と筋肉の関係が日常生活に与える影響
1. エネルギー効率の低下
筋肉が長時間収縮していると、当然エネルギーをより多く使います。
「買い物に行っただけなのに疲れてしまう」という状態は、歩行のエネルギー効率が下がっているためかもしれません。
2. 腰痛の原因に
背骨周りの筋肉が常に緊張していると、筋肉疲労や血流不足を引き起こし、痛みの原因となります。
特に長時間歩いた後の腰痛は、この筋肉の過緊張と関係しているかもしれません。
3. 他の関節への負担増加
歩き方が変わると、膝や足首など他の関節への負担も変わります。
「膝が痛いけど原因がわからない」という場合、実は側弯症による歩き方の変化が関係しているケースもあります。
お家でできる!歩き方改善エクササイズ
1. 腰方形筋ストレッチ
- 椅子に座り、背筋を伸ばします
- 右手を高く上げ、左側に倒していきます
- 右わき腹が伸びるのを感じましょう
- 15〜30秒キープし、反対側も同様に行います
2. 骨盤の回転運動
- 椅子に座り、両手を腰に当てます
- 骨盤を前後に倒す運動を10回
- 次に骨盤を左右に倒す運動を10回
- 最後に骨盤を円を描くように回します(時計回りと反時計回りを各10回)
3. 歩行リズム練習
- 音楽をかけながら、リズムに合わせて歩きます
- 腕を大きく振り、骨盤も意識的に動かします
- 最初は自宅の中で練習し、慣れてきたら外でも実践してみましょう
これらのエクササイズは1日10分程度で構いません。
継続することで徐々に自然な歩き方を取り戻せるでしょう。
脊柱側弯症専門施術での対応
- 歩行分析:実際の歩き方をチェックし、どの部分に問題があるか分析
- 筋バランスの調整:過緊張している筋肉をリリースし、弱化している筋肉を活性化
- 協調性訓練:筋肉が適切なタイミングで収縮・弛緩するよう訓練
- 姿勢改善:立位・歩行時の姿勢を改善するための指導
特に50代の女性患者さんからは、「歩くことが楽になった」「長距離歩いても以前ほど疲れなくなった」といった喜びの声をいただいています。
最後に:フィジカルバランスラボ整体院はここまでやる!
当院では、単に症状を和らげるだけでなく、こうした科学的根拠に基づいたアプローチで根本改善を目指します。
普通の整体院はここまで
- 痛みのある部分をほぐす
- 簡単なストレッチを教える
- 姿勢のアドバイスをする
フィジカルバランスラボ整体院はここまでやる
- 歩行パターンの詳細な分析と改善プラン作成
- 日常動作を含めた総合的な改善プログラム提供
- 定期的な再評価と進捗確認
少し難しく書いてしまいましたが、最初に提案するのはすごく簡単で続けやすいものです!
大事なのは「続けてもらう」ことなので、いきなり難しいプランを提案することはないので、ご安心ください(^^)
次回は「脊柱側弯症の治療選択肢と関節可動域への影響」について解説します。
手術や装具などの治療法がどのように関節の動きに影響するのか、最新の研究結果をもとにお伝えしていきます。
歩き方の改善に取り組んでみて、何か気になることがあれば、ぜひご相談ください。
一人ひとりの状態に合わせたアドバイスをさせていただきます!
皆さんの「楽に歩ける日常」をサポートできることを楽しみにしています!
参考文献
- Mahaudens P, Banse X, Mousny M, Detrembleur C. Gait in adolescent idiopathic scoliosis: kinematics and electromyographic analysis. Eur Spine J. 2009 Apr;18(4):512-21.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19224255/
この論文は記事で言及した歩行パターンの変化(肩・骨盤・股関節の動きの減少率)や筋肉の収縮時間延長に関する具体的なデータの根拠となっている研究です。特に4つの主要筋肉(腰方形筋、脊柱起立筋、中殿筋、半腱様筋)の収縮時間に関する知見を提供しています。
- Daryabor A, Arazpour M, Sharifi G, Bani MA, Aboutorabi A, Golchin N. Gait and energy consumption in adolescent idiopathic scoliosis: A literature review. Ann Phys Rehabil Med. 2017 Apr;60(2):107-116. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27956243/
この総説論文は、脊柱側弯症患者の歩行パターンとエネルギー消費に関する研究をまとめたものです。記事で述べた「エネルギー効率の低下」という点を裏付け、軽度側弯症でも歩行への影響があることを示す科学的根拠となります。
- Yagci G, Yakut Y. Core stabilization exercises versus scoliosis-specific exercises in moderate idiopathic scoliosis treatment. Prosthet Orthot Int. 2019 Jun;43(3):301-308.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30109978/
この研究は、脊柱側弯症患者に対するコア安定化エクササイズと側弯症特異的エクササイズの効果を比較しています。
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お困りのことがありましたら、
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