この記事を監修している人:奥村龍晃(柔道整復師資格保有)
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こんにちは!
脊柱側弯症専門のフィジカルバランスラボ整体院、
院長の奥村龍晃です。
今回は脊柱側弯症シリーズの第3回目として、「筋肉の拘縮メカニズム」についてお話しします。
前回は関節可動域の制限について解説しましたが、今回はその原因となる「筋肉の拘縮」に焦点を当てていきます。
側弯症でお悩みの方や、「最近身体が硬くなった気がする」という方にぜひ読んでいただきたい内容です。
ではさっそく、筋肉の拘縮について見ていきましょう!
そもそも「筋肉の拘縮」って何?
「拘縮」という言葉を聞いたことがありますか?
難しい言葉に聞こえますが、簡単に言うと「筋肉や関節が硬くなって、動きにくくなった状態」のことです。
筋肉は普段、「縮む」と「伸びる」を繰り返しています。
でも何らかの理由で筋肉が長期間縮んだままになると、その筋肉は徐々に硬くなり、伸びにくくなります。
これが「筋肉の拘縮」です。
例えるなら、よく使うゴムバンドと、何年も引き出しにしまったままのゴムバンドの違いみたいなものです。
使わないでいると、ゴムはだんだん硬くなって伸びにくくなりますよね。
側弯症ではなぜ筋肉が拘縮するの?
僕が整体院で側弯症の患者さんを診ていると、「なぜ筋肉が硬くなるのか」という質問をよく受けます。
その理由は主に3つあります。
1. バランスの崩れによる筋肉の過緊張
脊柱が横に曲がっていると、身体は倒れないように必死にバランスを取ろうとします。
そのため、特定の筋肉が常に緊張した状態になり、長期間その状態が続くと拘縮につながります。
例えば側弯症で右に背骨が曲がっている場合、左側の背中の筋肉は常に引っ張られた状態になります。
この状態が続くと、筋肉は「いつも引っ張られているのが普通の状態」だと勘違いして硬くなってしまうんです。
2. 使い方の偏り
側弯症があると、無意識のうちに身体の使い方に偏りが生じます。
例えば、右に曲がっている部分があると、左に重心をかけて歩くようになったり、特定の姿勢を取りやすくなったりします。
このような使い方の偏りが、特定の筋肉に過度の負担をかけ、拘縮を引き起こします。
3. 神経筋機能の変化
研究によると、側弯症の方では神経と筋肉の連携にも変化が見られるようです。
特に脊柱周りの筋肉の収縮パターンが変わり、歩行時などに筋肉が必要以上に長く収縮することが分かっています。
これは、脳からの指令系統にも影響が出ている可能性を示唆しています。
側弯症で拘縮が起きやすい筋肉はどこ?
さて、側弯症で特に拘縮が起きやすい筋肉はどこなのでしょうか?
主に以下の3つの部位に注目してみましょう。
1. 股関節周りの筋肉
研究によると、側弯症の方の多くで「右股関節の外転拘縮」が見られるそうです。
外転というのは、足を横に開く動きのことです。
特に以下の筋肉や組織に拘縮が見られます:
- 腸脛靭帯(ちょうけいじんたい):太ももの外側を通る帯状の組織
- 大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん):股関節から膝にかけて外側にある筋肉
- 縫工筋(ほうこうきん):太ももの前面を斜めに走る筋肉
これらが硬くなると、歩き方にも影響が出てきます。
2. 肩周りの筋肉
側弯症の方では、肩甲骨の位置や動きにも変化が見られます。
特に以下の筋肉に機能異常が見られることが多いです:
- 下部僧帽筋:背中の中央から肩甲骨に向かう筋肉
- 前鋸筋:脇の下から肩甲骨に向かう筋肉
これらの筋肉のバランスが崩れると、肩こりや腕の動きにくさにつながります。
3. 脊柱周りの筋肉
もちろん、背骨を直接支える筋肉も影響を受けます:
- 腰方形筋:腰の横にある四角い筋肉
- 脊柱起立筋:背骨に沿って縦に走る筋肉
- 中殿筋:お尻の横にある筋肉
これらの筋肉が硬くなると、姿勢維持や歩行に大きな影響が出ます。
実際、側弯症の方の歩行を分析した研究では、これらの筋肉が健常者より長く収縮し続けることが分かっています。
筋拘縮をセルフチェックする方法
「自分の筋肉が拘縮しているかどうか分からない…」という方のために、簡単なセルフチェック方法をご紹介します。
1. 股関節の外転チェック
床に仰向けに寝て、膝を曲げずに片足を横に開いてみましょう。
両足で比較して、開く角度に左右差があれば、拘縮の可能性があります。
2. 肩甲骨の動きチェック
壁に背を向けて立ち、両腕を横から上に挙げてみましょう。
このとき、肩甲骨がスムーズに動くか、左右で違いがあるかをチェックします。
3. 体幹の側屈チェック
まっすぐ立って、左右に体を倒してみましょう。
倒れる角度や感覚に違いがあれば、脊柱周りの筋肉に拘縮がある可能性があります。
筋拘縮を改善するセルフケア方法
では最後に、ご自宅でできる筋拘縮改善のためのストレッチをいくつかご紹介します。
1. 腸脛靭帯ストレッチ
- 横向きに立ち、ストレッチしたい側の足を後ろに交差させます
- その状態で、交差させた側に身体を倒します
- 太ももの外側に心地よい伸びを感じる位置で20〜30秒キープしましょう
2. 肩甲骨周りのストレッチ
- ドアフレームや壁の角に立ちます
- 肘を90度に曲げて、前腕を壁につけます
- そのままゆっくり体を前に傾けると、肩甲骨周りが伸びていくのを感じられます
- 20〜30秒キープしましょう
3. 脊柱起立筋のストレッチ
- 四つん這いになります
- お尻を踵に近づけるように後ろに引きます
- 腕は前に伸ばしたまま、胸を床に近づけます
- この姿勢で深呼吸をしながら30秒ほどキープします
これらのストレッチは1日2回、朝と夜に行うと効果的です。
ただし、痛みを感じるほど強く伸ばすのはNG!心地よく伸びる程度にしましょう。
専門家はここまで抑える
トップラインの専門家は、筋肉の拘縮に対して以下のポイントまで理解しています:
- 拘縮している筋肉だけでなく、「拮抗筋」(反対側で働く筋肉)の状態も確認する
- 拘縮と筋力低下の関係性を理解し、ストレッチだけでなく適切な筋力トレーニングも組み合わせる
- 日常生活での姿勢や動作パターンが拘縮にどう影響しているかを分析する
- 拘縮改善のためのストレッチを、正確なフォームで実施する方法を熟知している
優秀な先生はここまで抑える
さらに優秀な方は、以下のポイントも押さえています:
- 筋肉の拘縮が神経系にも影響を与え、姿勢制御の問題につながることを理解している
- 拘縮が長期化すると、筋肉だけでなく筋膜や関節包にも変化が生じることを知っている
- 筋肉の拘縮パターンから、側弯のタイプ(胸椎型、腰椎型など)を予測できる
- 拘縮を改善するためのセルフケアを、日常生活のルーティンに自然に組み込む工夫ができる
まとめ:筋肉の状態に気を配ることが側弯症ケアの第一歩
今回は側弯症と筋肉の拘縮について解説しました。
筋肉の硬さは側弯症の原因にも結果にもなり得る重要な要素です。
日常的にストレッチを行い、筋肉のバランスを整えることは、側弯症の進行予防や症状改善に役立ちます。
もちろん、セルフケアだけで対処するのが難しい場合は、専門家の力を借りることも大切です。
次回は「脊椎の可動域制限」について、より詳しく解説します。
胸椎・腰椎・胸腰椎移行部それぞれの特徴と、その部位に合ったケア方法についてお話ししますので、お楽しみに!
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